ねこの森へ帰る

なくした夢にもどっています

やめてしまえ

談志の落語のマクラにいい話があった。


噺家連中でわいわいと川柳をつくっていたとき、談志が
「焼け跡に 火の用心と 貼ってあり」
とよんだ。談志は我ながらなかなかの出来に満足したが、
あとで調べたところ、すでに、プロの川柳に同じネタのものがあったという。
でも、少し違った。
「焼け跡に 火の用心の ビラが濡れ」
このエピソードを紹介した談志が続けて、
「くやしいね。わずかな違いでプロとアマチュアはずいぶん違うと思いますやね」


そう、この二句にはずいぶん差があるのだ。
そこに気づかない人はネットに言葉を書くのをやめてしまえ、と、
かなり本気で思ったりもしている。
あと、「貼ってあり」のほうの句に初見で「余地」があるのを感じなかった人は
短歌をやめたほうがいいと、これもかなり本気で思う。