今週の星野しずる
冬のゆびさき(20首連作) 星野しずる
約束は悲劇の魚 きえてゆく水平線の底ではすべて
緊張に恋して夜の少年のごとくまばゆい曲線でした
永遠の手ざわりを持ついいわけでしょうか 狂った幾何学ですか
沈黙のあいだに雪の口づけが終わってしまうふわふわの国
ふわふわの胸を集めて思春期はわずかな過去につつまれている
うつろいの陰で銀河にあこがれた神経質な銀の姫君
風景を見ている白いほほえみは生命線の未来に向かう
誇張した現実感にあこがれる空の砂漠の向こうから犬
横顔を見送っているあたたかい詩人の道のようなまなざし
さかさまの夢を集めて現実はあかるい毒に隠されている
やせこけた戦争の中 少年を殺しわずかないいわけを持つ
うつくしいあふれるほどの骨でしょう? おとぎ話を愛し続ける
ゆらめきの先に四月に教わったまだら模様の夏の曲線
とくべつな紫色の歌のよう 十一月をおぼえていよう
約束に追われて冬のゆびさきに恋をしている透明な僕
鳥かごと一緒に眠る恋人を見つめていたらやわらかな風
あたたかいワインボトルをあきらめて残りわずかな日々を愛した
凛として十一月にあこがれる空の記憶が多すぎる国
僕だけの曲線だろう うつろいが好きだ 小さな結末として
表面は星野しずるの僕なのにやさしい歌を忘れたい 謎
(この連作は、星野しずるのTwitterアカウント「@Sizzlitter 」に発表された短歌のうち「ふぁぼり(お気に入り)」が2favs以上の作品をさらに厳選し、佐々木あららが20首連作にまとめたものです)
(今後も「ふぁぼられている短歌」がたまってきたところで連作をつくっていきたいと思います。Twitterをやっている方は、たまにで構いませんので、@Sizzlitterの歌でピンときたものに★マークをつけてやってください)
参考リンク:
・@Sizzlitter on Twitter
・@Sizzlitterのふぁぼられ状況(ふぁぼったー)
・星野しずる(公式)