ねこの森へ帰る

なくした夢にもどっています

かつて私はトビラ派であった

 ラー油が流行っているらしい。ご飯にかけて食べるだけで十分うまいのだそうだ。

 水を差すようで恐縮だが、その食べ方は私が一人暮らしのころに開発したものと同じだ。私の場合は、酢とラー油*1を混ぜた小皿に箸をちょいちょいとつけ、箸先にしみたそれをおかずに冷や飯を食べるシステムだった。いわゆる「エア餃子」という男の料理である。頼みのマヨネーズ*2も底をつき、他におかずになりそうなものがなかったのだ。

 他にも、からしライス、エアまぐろ、牛脂丼*3、パルメサンチーズ丼など、ラー油めし系統の献立は私の得意料理であった。ポイントは「冷蔵庫のトビラ側に入っている物で勝負」である。本体側には発泡酒ぐらいしか入ってないからトビラで勝負せざるを得なくなっていたのだった。

『トビラでご飯!』……もし私の秘伝のレシピ集を出版することになったら、タイトルはこれだ。できればそれぞれのレシピに対しての美人すぎる栄養士からの絶句コメントつきでいこうと思う。出版社募集中。帯は「ラー油よ、俺たちを置いていくな」。

*1:念のため言っておくが、辛そうで案の定辛いごく普通の卓上ラー油である。

*2:トビラ派調理人の間では、マヨネーズご飯はあまりにも美味すぎてトビラ派に数えない。卵かけご飯も同様。

*3:当時住んでいた近くのスーパーではサイコロ状の牛脂が無料でもらえた。あんな高級食材がただとは! 今もそうなのだろうか。