ねこの森へ帰る

なくした夢にもどっています

NO MORE

まずは温泉地を思い浮かべる
そうだな、新潟県あたりの
まだ昭和の雰囲気が残ってるような
流行に便乗して足湯をつくってみたが
誰も浸かってないような

そんな温泉地の中心に
スマートボールの店の隣に
なぜか残ってる映画館がある
イングロリアス・バスターズ」でヒットラーと一緒に盛大に燃えちゃう
あの映画館みたいなやつ
でも支配人のばあさんが
どこかの大学病院に長期入院してしまうことになってから
もう5年は閉鎖されている
貼ってあるポスターは
そうだな
南極物語」あたりがいい

僕はその街で生まれ育った中学生で
その夜は卒業式の夜だ
悪友4人組で
最後に記念に残るようなデカいことをしようと決める

それで映画館に侵入するのだ
あの中には大人にしか見せられない
いやらしい映画のフィルムが山ほど残っているのだという
根も葉もない噂を信じて
いちばん過激なコマをカットして持って帰ろうと決める

ああ
書くのが疲れたので
あとは「スタンド・バイ・ミー」のキャストで
勝手に想像してください
だいたいそれどおりに話は進みます
僕の想像力は凡庸にできているので

リーダー格・主人公・メガネ・デブの
4人で構成された悪友グループは
その後それぞれの道を進み
メガネは自衛隊に入るもすぐに落ちこぼれ
デブは親の経営する旅館を引き継いで経営に失敗
リバー・フェニックスは弁護士になって喧嘩の仲裁で刺し殺され
主人公の僕はといえば
その後
東京に出てパントマイムの世界で成功し
大きな仕事をするようになる

あの
誰でも知っている
白手袋の
カメラのかぶりものを頭にかぶった
映画のはじめに必ず流れる
あれを演じているのが僕です

……という物語があるべきだと思いませんか、映画泥棒というからには

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