ねこの森へ帰る

なくした夢にもどっています

いぬざる20首

●不自然な愛のボールを追いかける缶コーヒーは微量の駝鳥
●美しい太陽風からあふれ出す秋の木陰に隠された沼
●まっすぐなお茶へ託そう 密林はやさしい愛をたどってゆけば
●球体は流れの角度 燃えさかる草食獣が広がる星座
●不自然な男の蝉を集めたらかかとの前にやさしい吐息

●とくべつな秘密の罠を捨て去ろう ボールを殺し孤独な砂丘
●憂鬱な赤外線を飛び出した浮かぶ涙をよんでいる母
●とくべつな煙の遺書を待つ夜ははずむ匂いは猫に追われて
●凛として歌に追われる曲線ははずむらせんが好きだ 週末
●憂鬱な夢にまで見た罪を見てミニスカートにつつまれている

●よこしまな待ちくたびれた影を見た ペットボトルをたどってゆけば
●曲線を見ていたら水 火のような猫に似ている空のせせらぎ
●結晶の機械を忘れ動かない瀕死の夢が怖くって街
●シベリアを残した白い残像を見つめ続ける僕だけの夢
●五月雨を見ている濡れたシベリアを食べてつめたい水晶のこと 

●凛として風のらせんを眺めれば黒曜石は汚れた模型
●美しい紙飛行機を駆けめぐり空一面の遺書を愛した
●よこしまな紙飛行機に隠された赤い呼吸を集めたら闇
●五月雨は炎の言葉 永遠のアンモナイトに恋して駝鳥
●僕だけの涙の沼より重かった雪の流れに恋をしている

(作 星野しずる aka.「犬猿」)