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ねこの森へ帰る

なくした夢にもどっています

ぺりぺりとはがれる僕の求愛(小説)

日射しの強い週末に野球を観ていたら、腕がこんがりと焼けた。
というわけで、先週から私はぺりぺりと剥け続けている。
私の皮膚はとても丈夫で張りがあるので、とてもきれいに剥くことができる。丁寧に丁寧にエッジを広げていけば、10センチ四方程度の皮膚をはがしとることさえ可能である。これは私の自慢の一つだ。
ほどよく剥けてきた二の腕の皮膚を示し、私は女を誘う。「剥いていいよ」
もちろん、自分の皮を剥かせることは愛情表現である。と、私は思っている。
真っ黒に焼けた女の子に「剥いていいよ」と言われたら、私はそれを求愛として受け止めるだろう。エロティックで情熱的な告白だ。そして彼女と私は常夏の島のバンガローで剥いたり剥かれたりしあうのだ。
昼に焼き、夜は剥く。それこそ愛のかたちというものだろう。
違うのか。
違うのかも知れない。
女はしかめつらをして皮剥きを拒否した。
私は、求愛を拒否されたのか文化に断絶があるのかの結論が出せぬまま、いずれにしても孤独のうちに自分の皮膚をはがし続ける。
ぺりぺりと。
こんなにいい皮膚を剥かせてあげると誘ったのに。彼女ときたら。